La Rose Bleue

2020/04/18 Sat.  初めて現地でサヨナラ勝ちを見て感動した話


ロックマンエグゼのキャラ・ライカとサーチマンを使って経験談をマンガにしようと思っていたのだが、結局できそうにないのでここに記す。



2019年9月19日。この時期、自分の贔屓球団である横浜DeNAベイスターズは、巨人との優勝争いで、デッドヒートを繰り広げていた。
この日はペナントレース最後の広島戦だった。自分はそれより1週間ほど前の巨人戦を一人横浜スタジアム(以下、ハマスタ)で観戦していたのだが、エースの今永が試合を作ったのに、打線が湿っていて負けてしまっていた。


広島戦当日の夕方5時頃、ラミレス監督風に言うならば、今すぐハマスタに向かうよう「神のお告げがあった」。
 ツイッターで譲り先を探していた人からライトスタンドのチケットを買い取ることになり、準備を整えて自宅を出発、電車にしばらく乗って関内駅まで移動。


チケット代を払うためにコンビニで所持金を崩していたら少し遅れてしまった。チケットを買い取り入場したときはプレイボールから15分ほど経過していたのである。
その日は自分の最推し選手である乙坂智が1番センターで先発出場していた。彼の名を告げるスタジアムDJと、応援団の演奏する勝利の輝きが、足を急がせた。
しかし、乙坂は早いカウントで凡退し、一瞬で落胆した。おまけにスコアボードを見るとすでに3点先制されているではないか。
先発投手は前回現地参戦した時と同じ、今永。初回に立ち上がりが悪かっただけかな、と思った。その後も次々と広島に得点を許し、5回7失点でマウンドを降りる。エースが燃やされてしまうとは思ってもいなかった。


乙坂にまた打席が回ってきたがやはり凡退してしまう……自分は試合中盤になって決めた。「6~7回まで無得点かつ、乙坂が代えられたら帰ろう」と(実際に中盤で代えられてしまった)。


そんな時であった。6回裏、ランナーが二人溜まった状態で打席が回ってきたのは、昨年本塁打王の外国人、ソト。変化球を振り抜き、レフトスタンドに3ランを放った!
ほぼ諦めていた矢先に反撃の狼煙。「これは……いける!!」根拠はなかったが、確信が持てた。


続く嶺井と大和もヒットで出塁、中井が四球を選んで満塁に。ここで投手に打席が回ってきて、代打が送られた。青い韋駄天・梶谷である。
梶谷は今季不調気味ではあったが、「ここでホームランが出れば同点だな。打ってほしいな」と思っていた。
その微かな期待に、彼はきっちり答えてくれた。アッパースイングで球をとらえ、ベイスターズファンの待つライトスタンドに突き刺した!
後で知ったのだが、これは彼の通算100号ホームランであったという。


次の回も、国吉が失点してしまった1点を、梶谷の初球に対する一振りがタイムリーとなり、追いつくことができた。
終盤と延長突入後は、エスコバー、山崎康晃(9~延長10回をまたいで投げた)、三嶋が好リリーフ。広島打線を無失点に抑える。


そして迎えた延長11回裏。ロペスのヒット、桑原の死球でベイスターズはサヨナラのチャンス。バッターは先ほど3ランを放ったソト。
球団の暗黒時代末期に作られた応援歌・ライジングテーマが「想いよ届け 君の元へ」と鳴り響く。想ソトはカウントをフルまで溜めた後も、ファウルで粘り続けた。
投げられた11球目。ソトはそのフォークを大きなレフトスタンドへのサヨナラホームランにした!想いが届いた瞬間だった。


自分たちが揃って大歓喜の声に埋もれていた間はほとんど覚えていない。それほど嬉しかったんだ。


終わってみればベイスターズが得点したのはソトと梶谷の二人だけ。ではあるのだが、これも他の選手が一丸となって戦ったから。みんなで掴んだ勝利だと今でも思う。


「一生残る、一瞬のために。」……これは9月始めに球団から発表されたスローガンだ。結果的にこの年は試合数残りわずかというところで優勝を逃してしまったが、優勝への希望を見せてくれたベイスターズに感謝したい。
そして、メジャーリーグに挑戦するためタンパベイ・レイズに移籍することになった筒香も、彼の後を引き継いで新しくキャプテンになった佐野、もちろん乙坂も、今度こそ優勝に向けて頑張ろう!!



P.S.
次の月にハマスタで行われたクライマックスシリーズ・ファーストステージ2戦目で、敗退の危機に陥りそうになっていたのを、振り払ったのが乙坂の一発だった。テレビ越しではあったが、みんなに明日への希望を切り開いてくれたのが乙坂だった。
一瞬でも夢をみさせてくれて本当にありがとう。あなたはまぎれもなく横浜の誇りだ。